「男女の時間の使い方の差――その経済的、政治的、文化的影響」

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このエントリーは私が英語の邦訳を練習するためのものです。邦訳は正しいとは限りません。原文のURLを付していますので、そちらをご覧ください。
誤りの指摘や、アドバイスは大歓迎です。
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本日も「european sociological review」2011年4月の27巻2号より、「Persistent Inequalities in Time Use between Men and Women: A Detailed Look at the Influence of Economic Circumstances, Policies, and Culture」の抄録を訳します。(http://esr.oxfordjournals.org/content/27/2/164.abstract
著者は、Tanja van der Lippe, Judith de Ruijter, Esther de Ruijter, Werner Raubです。


―――第一訳(ひどい)――
「時間の使い方における男女間不平等――経済状況や政策、文化の影響の分析を通して」


抄録
 本稿の目的は、制度的状況を経済状況、政策、文化的影響から分析し、男女が労働、家事で費やす時間における不平等に説明を与えることである。私たちは、ミクロレベルの指標(?indicators)の相互作用と同様、マクロレベルの指標(?indicators)についての見解も示す。私たちが示すのは、例えば、より男性的な国では既婚女性が働くことへの否定的な効果は強くなる、というようなものである。多国間生活時間研究のデータを用いて、私たちは17カ国について1965年から1998年の期間で分析をした。多国間分析の結果、制度が整備されていることが労働にとって重要であることがわかった。経済が非常に発展しており、子育て支援施設の割合が多い国では、男女ともより労働を多く行っていた。最も、子どもが生まれてからは労働時間は減るのであるが。文化の影響の面をみると、男性的な文化における高学歴で既婚の女性ほど仕事をしておらず、また女性的な文化にいる女性に比べて既婚女性はより多く家事を行っていた。


―――第二訳――
「男女の時間の使い方の差――その経済的、政治的、文化的影響」


抄録
 本稿の目的は、制度の整備状況に対する経済、政治、文化それぞれの影響を分析し、有給労働と家事に使われる時間の男女間の差異に説明を与えることである。私たちは、ミクロレベルの指標の影響関係だけでなく、マクロレベルの指標の影響関係にも見解を示す。例えば、男性的な国(男性の影響力の強い国?)では、そうでない国に比べて既婚女性が有給労働をしにくくなっている。多国間生活時間アーカイブを用いて、1965年から1998年の期間の17カ国について分析を行った。その結果、労働に対する制度の整備が重要であることがわかった。つまり、経済が発展し育児の支援に力をいれている国では、男女とも雇用労働が多いのである。最も子どもを産む前と比較すると、その労働時間は減ってはいる。文化の影響に関して、男性的な文化の下にいる女性は、より女性的な文化の下にいる女性に比べて、高学歴、既婚の場合に雇用労働を行っておらず、逆に家事は多く行っている。

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■英語に関して
 やはり一度目と二度目の理解は全く違う。初めから二度目の理解に至れるようになりたいものだ。

 例えば以下の文
・We indicate our expectations for these macro indicators as well as for their interaction with micro level indicators.
このindicatorsの意味は全くわからなかったのだが、抄録を読み終わってから再び訳しだすとなんのことはない、ただの「指標」だった。といっても、抄録ではマクロレベルの指標の影響関係についてしか述べていないので、ミクロレベルの指標の影響関係(相互作用)がどのようなものなのか、具体的にはわからないのであるが。


 もう一つ悩んだのが以下の文
・men and women in highly developed economies and in countries with high rates of child-care facilities do more paid work,
 この high rates of child-care facilitiesの部分。「施設」なのに「高い割合」の意味が分からず、一度目の訳ではとりあえずそのまま訳してみた。二度目は、直前の経済の話につなげてこの「割合」を予算の中での割合ととった。しかしここは今でもよくわからない。「育児施設」という物質的なもののことを言っているのか、「育児を支援する制度」というようなよりソフトなもののことを言っているのか、そしてhigh ratesとは何をさしているのか。。。

 最後にタイトルについて
・「Inequalities」は、「差」と訳した。男女間の不平等を扱っているのであろうことは、抄録からも伝わってくるが、価値判断があるのかどうかははっきりとはしていないし、「時間の使い方の不平等」は日本語としておかしいので、「差」とした。内容とも一致していると思う。

・「the Influence of Economic Circumstances, Policies, and Culture」は、直訳するとくどくてゴロも悪いので、「経済的、政治的、文化的影響」とまとめた。「分析を通して」というのもタイトルにはない方がすっきりすると思ったので、消してしまった。

■内容に関して
 時間の使い方、特に有給労働(paid-work)と家事労働(house work)への時間の使い方に男女で差がある。この差は、その国の労働環境、育児環境などの制度に依存している。そうした環境を、経済、政治、文化の面から分析し、それぞれの影響関係に対する仮説を提示する。というものである。
 社会学の王道的な分析だが、気になるのは「masculine countries」や「masculine cultures」という表現。どういう定義をしているのかは本文を読まないとわからないが、これを定義したり、どの国・地域がどれに当たるかを位置づけるだけで一つの研究になると思うのだが。これらはどのようなデータを基に使っているのだろうかと疑問に思った。
 また、1965年から1998年の期間の17カ国を分析対象としたとあるが、こんなに膨大な時空間を一つの論文で扱えるのか。経済、政治、文化といっているが非常に単純化した指標を用いているのではないかという懸念があがる。
 とまぁ抄録だけ読んで文句つけても仕方ないのですがね。それを言っちゃーおしまいよ、ということで。