物理:究極の構成粒子

このメモは2010年5月9日書いたものを一部改変したものです。



・「素粒子
ものは分子からできてる。その分子は原子の集まり。原子も原子核と電子の集合体。さらに原子核は陽子と中性子からなっている。そこで陽子、中性子、電子を「素の粒子」、素粒子と呼ぶことになった。


・「素粒子」VS「基本粒子」
 しかし、1964年陽子や中性子でさえクォークっていう粒子が三つも集まったものだという理論が提唱され、90年代半ばまでにクォークの6種類の存在が確認された。従って、それまで「素粒子」と呼んでいた陽子や中性子などが素の粒ではなくなってしまった。
 これに関して、それまで「素粒子」と呼んでいたものを「素粒子」と呼ぶことをやめ、存在が確認されたより根源的な物質クォークを「素粒子」と呼ぶ用法と、やはり陽子・中性子等を「素粒子」と呼び続け、クォークを「基本粒子」という新しい言葉で呼ぶ用法の二つが現在も混在している。
 たとえば『理化学辞典』では「クォークなどのようにそれより小分けにできないようなもの」を「基本粒子と呼ぶことがある」としているのに対して、『理科年表』は、クォークなどを「物質の究極の構成粒子であり、真の意味での素粒子」と位置付けている。
 ここでは以下基本粒子と呼ぶ。


・力を伝えるもの
 「基本粒子」という言葉は「物の根源」だけではなく、「力を伝える粒子」を指す際にも使われる。電磁気力を伝える光子、クォークを束ねる力の担い手グルーオンなど。現在確認されている基本粒子は、物質をつくる粒子が12種、力を伝える粒子が4種。標準理論によって存在が予想されている粒子が、万物に質量を与える「ヒッグス粒子」である。(巨大な円型装置を用いた実験(=LHC)の目玉である粒子)。


超ひも理論
 世界はシンプルに表現することが美しく、可能だと考える人にとって、このように多くの粒子によって物質が成り立っているという考え方は受け入れがたい。そこで、電子もクォーツも力を伝える粒子もシンプルに統一的に説明できる「なにか」を「ひも」としたのが、超ひも理論
 極小のこの「ひも」が震え、その振動の仕方の違いで様々な粒子になると考える理論。ものの最小単位を「点」(粒子)にしていない、ということが重要。点にするとそこに働く重力が無限大になり、計算が困難になるため。


 *(程度問題でもありますが)あくまで「できる」研究を行う、ことは社会科学、自然科学ともに共通していると思います。


暗黒物質
 先ほど登場した「ヒッグス粒子」、実はこれ、暗黒物質の候補としても提案もされている(阪大 細谷など)。宇宙に存在する物質のうち、光って見えているのは1〜2%のみ。残りは暗黒物質と呼ばれる。1930年代以降、その存在を確認しようとこの分野の研究者たちは躍起になっているが、そもそも、なぜ「見えない」のに「存在する」と思うのか。
 宇宙で銀河同士がまとまっているためには、それ相応の重力で引きあう必要があるだが、見えてる星ではその重力がたりない。従って見えはしないが、重力を引き起こす物質=暗黒物質があるはずだ、ということ。


暗黒物質の中身(マッチョと弱虫)
 現在その暗黒物質として考えられているのは二種類ある。一つは、原子などでできているが見えない物質。燃えてない星やブラックホール、水素ガスの雲など。これらはMACHO(マッチョ)と呼ばれる。宇宙の始まりの名残の電波を調べることで、暗黒物質の中のマッチョの割合が全体の14〜16%とわかっている。
 では残りは、というと、それがそれが二つ目の「重さはあるが、ほかの物質とほとんど関わらない未知の粒子」である。これが残りの83%を占めているということ。これらはWIMP(ウィンプ=弱虫)と呼ばれる。この正体をとらえようと、精密な観測装置が次々と創り出されてる。
 ウィンプの正体として、今のところ候補としてあがっているのが以下のようなもの。
 ・ニュートラリーノウィンプの重さと、素粒子理論から予想されるニュートラリーノの重さが同程度(超対称性理論より)
 ・アクシオン   :標準理論を美しい形にするのに都合のいい粒子  
 ・ヒッグス粒子


・WIMPウィンプ
 ウィンプは宇宙空間だけではなく、地球や僕等の体を素通りしているらしい。従ってごくまれに原子核とぶつかることがある。その際、つまり原子核が動いた際に生じる熱、電流、光を観測する検出器を作れば発見できるかもしれない、と期待が寄せられている。(日本でも岐阜の「XMASS」という検出器が今年の夏に感性される予定。)


以上朝日新聞 2010年2月9日、5月8日朝刊他、より。